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なぜALBAは最初の一筆を手で描くのか|手描きとデジタルの美

テキスタイルデザインをつくるとき、なぜ最初からパソコンで描かないのか。

これは、株式会社ALBAがテキスタイルデザインを考えるうえで、長く大切にしてきた問いの一つです。

現在は、デジタル上で線を引き、形を整え、色をつけ、繰り返しの柄まで正確につくることができます。

それでもALBAでは、最初の一筆を紙の上に置き、手を動かして描くことから始めます。

その理由は、単に「手描きには温かみがあるから」ではありません。

不確かなものと、正確なもの。
本来は性格の異なる二つのものを、一つのデザインの中に共存させたいからです。

手描きの青い花の水彩画

手で描くことで生まれる「不確かさ」

人の手で線を引くと、完全には思いどおりになりません。

筆圧によって線の太さが変わり、紙の状態によって絵具の広がり方も変わります。

少しかすれたり、にじんだり、予定していた方向からわずかに線が外れたりする。

そこには、最初から計算することのできない要素があります。

しかし、その不確かさこそが、デザインにとって大切な場合があります。

最初からすべてを正確に決めてしまえば、整った形はつくれます。

けれど、予想していなかった形に出会うことは少なくなります。

手を動かしながら描くことで、自分でも想像していなかった線が生まれ、その線を見て次の形を考える。

描くことそのものが、まだ存在していないデザインを発見する行為になるのです。

だからALBAにとって初稿は、完成したデザインを正確に描き写す作業ではありません。

まだ見えていないものを探すための時間です。

手描きの華やかな花々

一方で、商品には「正確さ」が必要になる

ただし、テキスタイルデザインは、紙の上で完成するものではありません。

実際に生地へプリントされ、洋服や製品になり、市場に出ていきます。

そこでは、柄の大きさ、色、配置、リピート、生地幅など、さまざまな条件に合わせて正確に設計する必要があります。

ここで力を発揮するのがデジタルです。

手描きで生まれた線を取り込み、色や形を調整し、繰り返しの構成を整え、商品として成立する精度まで高めていく。

つまりALBAにとって、

手描きは「不確かなものを生み出すため」。
デジタルは「その魅力を正確な形にするため」。

それぞれに役割があります。

ノートPCから溢れるコード

相反するものを、一つの柄の中に

ここが、ALBAが手描きからデザインを始める本質的な理由です。

私たちは、商品には「正確さ」が必要だと考えています。

柄が意図した色で再現され、形や配置が整い、商品として美しく仕上がっている。そうした正確さが、見る人に安心感や心地よさを与えることがあります。

けれど、人の心が動くのは、整ったものだけではありません。

少し揺れている線。
わずかに違う形。
偶然生まれたかすれやにじみ。

そうした「完全には予測できないもの」に、私たちはふと目を止めることがあります。

なぜなら、そこには見る側が想像したり、感じ取ったりする余白があるからです。

すべてが均一に整えられたものには、安心して見ることのできる美しさがあります。一方で、少しだけ不確かなものには、「これは何だろう」「なぜ、この線が気になるのだろう」と、見る人自身の感覚が入り込む余地があります。

だからこそ、心地よさを生む「正確さ」と、心を動かす「不確かさ」の両方を、一つのデザインの中に持たせたい。

ALBAが手描きとデジタルを組み合わせる理由は、そこにあります。

デジタルによって精度を高めながら、その中に手で描いた揺らぎを残していく。

整っているけれど、整いすぎていない。

計算されているけれど、どこか予測できない。

その両方が同時に存在するとき、テキスタイルデザインは単に「きれいな柄」から、人の感覚に残る表現へ変わっていくのだとALBAは考えています。

手描きの花とデジタルの融合

手描きとデジタルは、対立するものではない

手描きとデジタルは、一見すると正反対のものです。

手描きには偶然があり、デジタルには制御があります。

手描きには揺らぎがあり、デジタルには精度があります。

けれど、ALBAはその違いをなくそうとは考えていません。

むしろ、その違いを残したまま組み合わせる。

そこに、テキスタイルデザインの面白さがあると考えています。

紙の上で人の手から生まれた線が、デジタルの精度を通り、布になり、洋服になる。

最初は不確かだった一筆が、最後には商品として確かな形になる。

その過程の中で、手描きの揺らぎが失われずに残っていること。

それが、ALBAが目指しているテキスタイルデザインです。

正確だから心地いい。
不確かだから心が動く。


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テキスタイルデザインができるまで|ALBAの発注から納品まで


その二つを一つの柄の中に持たせるために、ALBAは今日も、最初の一筆を手で描くところからデザインを始めています。

執筆:代表取締役・テキスタイルデザイナー安田信之:株式会社ALBA・[ 著者情報 ]