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良いテキスタイルデザインは、説明をしすぎないことが大切。

師匠から教わった言葉です。花のモチーフを描くとき、花芯を中心に広がる一枚一枚の花びらを、陰影まで丁寧に描き込んでしまうと、ときにしつこく、息苦しい印象になります。どこか一枚をベースの色に溶け込ませ、途中で筆を置いたような余白を残す。そこに見る人の想像が入り、花はそれぞれの心の中で完成します。デザインにおける余白は、単なる空きではなく、視覚的な余裕と調和をつくるための意図的な表現です。

水彩画のポピーの花

描きすぎない、ということ

真ん中に花芯があり、周囲へ花びらが広がっていく。その一枚一枚をすべて精密に描き起こすのではなく、あえて途切れさせたり、背景へ溶かしたりする。すると見る人は、「この先も花びらが続いているのかな」と自分で連想し、花の形を頭の中で補ってくれます。

「描かずして描く」という表現がぴったりです。省略は手を抜くことではなく、見る人の想像力をデザインに参加させることです。余白があるからこそ、人は自分なりの意味や情景をそこに加え、作品を自分ごととして感じられます。

水彩画の鮮やかな花

営業も同じかもしれない

たとえば、最先端のパソコンを売る営業マンが、CPU、メモリー、画面の画素数、前年度からの性能向上を次々に説明したとします。確かに理解はできるかもしれません。でも、それだけでは心はあまり動きません。

内部が光るPCケース

「このパソコンがあれば、遠くに住む家族と大きな画面でつながれる」「いつでも子どもの笑顔が見られる」。購入者が自分の生活の中でその景色を思い浮かべられたとき、初めて「欲しい」という気持ちが生まれます。情報を説明し尽くすのではなく、相手が自分で未来を想像できる余白をつくることが、購買へのいちばん近い道なのかもしれません。

家族がコンピューターで楽しむ

テキスタイルであれ、営業であれ、たくさんのことを説明されて理解できても、「いいな」とはなかなか思えません。自分自身が感じ取り、心が動いたとき、はじめて良いデザインは完成するのだと思います。


ALBAのテキスタイルデザイン事務所では、
商品の方向性を伺い、手描きの表情をつくり、デジタルで整え、実際に商品へ使用できるプリント図案へ仕上げていきます。

「自社の商品に合うオリジナル柄をつくりたい」
「イメージはあるけれど、どう柄にすればいいかわからない」
そのような段階からでも、お気持ちをお聞かせください。


執筆:代表取締役・テキスタイルデザイナー安田信之:株式会社ALBA・[ 著者情報 ]