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時代を越えるオーナメント模様の魅力

カシミールサラサや19世紀ヨーロッパのレース柄に見られるオーナメント模様。一見複雑に見えても、実は限られたモチーフの組み合わせから生まれる繰り返しのリズムが、洗練された表情を生み出します。

赤とピンクのペイズリー柄のテキスタイルで、花と葉が渦を巻くように複雑にデザインされている。.

モチーフの繰り返しが生む表情

カシミールサラサやヨーロッパのレース柄は、曲線的な花や蔓、幾何学的フレームといったわずかなモチーフを組み合わせた構成が特徴です。複雑に見えるデザインも、実は素材はシンプルで、その配置や繰り返しによって多様なニュアンスが生まれます。

黒地に白のシンプルな装飾線画が9本、それぞれユニークな曲線を描いている。.

同じモチーフでも間隔を広げれば軽やかに、詰めれば重厚に見える効果があります。さらにバランスの取り方や色使いを変えることで、クラシックな雰囲気から現代的でポップな印象まで自在に変化します。この「動きのある反復」が、時代を越えて愛される柄の鍵となっています。

リズムとバランスで生まれるニュアンス

19世紀のレースやサラサ柄では、モチーフは一定のリズムで繰り返されながらも、バランスを微妙に変えることで豊かな表現が生まれます。リズムは視覚に心地よさを与え、バランスの変化はデザインに奥行きをもたらします。例えば、左右対称の構成に少しずらした動きを加えると、生命感や躍動感が加わります。また、細部の装飾を省略することで、モダンな演出も可能です。こうした工夫は、布地や織り、プリントに応用しても効果的です。当時の感性を現代に引き寄せながら、新しい表現を生み出すことができるのが、このオーナメント柄の魅力なのです。

黒と白の複雑なペイズリー柄に、渦を巻くような細かい花と葉のデザイン。.