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テキスタイルデザイナーとは ― 布から生まれる創造の世界

テキスタイルデザイナーとは、布という素材を通して表現を生み出す専門職です。一枚の布には織り、染め、プリントなど、多様な技術と感性が息づいています。布の素材自体から造形を追求するデザイナーもいれば、プリント柄によって世界観を具現化する作家型のデザイナーもいます。また、アパレルブランドと協働し、図案制作に特化するデザイナーも存在します。ここでは、その3つのスタイルを通して、テキスタイルデザインの奥深さを探ります。

ピンク、グリーン、イエロー、ホワイト、ネイビーのカラフルな抽象柄の生地見本を重ねた。.

布そのものを創るデザイナー

テキスタイルデザインの原点とも言えるのが、布自体の構造や素材にこだわる分野です。糸の選定、織り方、染色など、素材から制作に関わることで、布そのものに立体的な表情を生み出します。こうしたデザイナーは、科学的知識と美的感覚の両立が求められ、テキスタイルアートに近い領域で活躍します。布は単なる衣服の素材ではなく、作品としての存在感を持ちうるという視点から、造形芸術としての深みを追求していくのです。

青、白、赤の糸で羽のような模様が描かれた織物のクローズアップ。.

布と柄を生み出すデザイナー

オリジナルのパターンを作り、自身のブランドを立ち上げるデザイナーも多くいます。その作品は作家性を強く帯び、自らの美学やメッセージを布で表現する世界です。ファッションのみならず、インテリアやアートなど多方面へと展開する柔軟な発信が魅力です。

マネキンの上に飾られた3着のノースリーブのドレスは、花柄とブルーが基調。.

図案家としてブランドに寄り添うデザイナー

株式会社ALBAのように、アパレルブランドから依頼を受け、プリント柄の制作に特化する「図案家=テキスタイルデザイナー」という形もあります。株式会社ALBAでは数多くの表現方法を持ち、ブランドの意図やトレンドに合わせて的確にデザインを提供します。作家型デザイナーが自らの感覚を追求するのに対し、図案家はクライアントの要望に応える柔軟性を持ち合わせ、商業ベースに支えられながらも、多彩なタッチと技術を駆使して「布の表現力」を生かし続けます。

緑の葉の背景に白、黄色、赤の花が描かれた花柄プリントのシワ加工生地。.

あとがき

このように「テキスタイルデザイナー」という言葉の中には、素材を探求する人、柄を創造する人、ブランドの世界観を支える人など、さまざまなアプローチがあります。けれども共通するのは、布への深い愛着と真摯なまなざしです。布に触れ、色や形に命を吹き込みながら、目に見えない感情を形にする——それがテキスタイルデザインの魅力ではないでしょうか。どの道を選んでも、その根底にあるのは「布を愛する心」。それこそが、テキスタイルデザイナーという仕事の豊かさだと考えます。

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