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透明感「重色」と混ぜる力強さ「混色」―絵の具技法の魅力

透明感を活かす「重色」と、力強さを生み出す「混色」。同じ色を扱いながら、全く異なる効果を持つ技法の特徴を知ることで、作品の世界はさらに広がります。

ピンク、ブルー、イエロー、グリーンの鮮やかな色彩が花や茎を思わせる抽象的な水彩画。.

重色について

透明水彩の技法「重色」は、一度塗った色が完全に乾いてから、別の透明色をその上に重ねていく方法です。光が下層の色を透過しながら混ざることで、にごりのない深みや奥行きが生まれるのが大きな特徴です。例えば植物の葉の重なり、水の透明感、空気の奥行きを描く場合には非常に効果的で、色の層が積み重なるごとに複雑で美しいニュアンスを見せます。偶然に生まれる表現の幅広さも魅力で、透き通る世界観や軽やかな雰囲気を出したいときに欠かせない技法といえるでしょう。

混色の特徴

一方、ガッシュや油絵で多用される「混色」は、パレットの上で絵の具同士を混ぜ合わせ、新しい色を作り出す方法です。これは塗った時点でしっかり色が混ざり合うため、透明感よりも力強さや厚みのある質感を表現できます。マットで重厚な仕上がりになり、存在感のある画面づくりに適しています。また、混色によって微妙な色調を自在に調整できるため、落ち着いたトーンやニュアンスを必要とする作品でも活躍します。素材感や迫力を強調したい場面では、この混色の技法が表現の幅を広げてくれるのです。

重色と混色、それぞれに長所短所があります。同じ図案でも使い方次第で作品の表情は大きく変わります。どちらを多く取り入れるか意識しながら描くことが、個性を引き出す大切なポイントです。