花を描く際は「花びらや葉っぱのつき方」を観察し、基本構造を意識することが重要です。本記事では、花を描く上で大切な“形の法則”に触れます。

花を描く前に知っておきたい“構造”の基本
花の絵は、細部をきれいに仕上げることと共に、「構造」をとらえて描くことが重要です。花には中心となる雌しべ・雄しべ、花びら、ガク、茎(花柄)といったパーツから構成されています。葉は互生や対生、花びらは放射状に付き、それぞれ独自の付き方があります。
葉のつき方:互生と対生
・『互生』
茎の節ごとに1枚ずつ葉が交互に生えます。左右に1枚ずつ向きを変えてらせん状に配置されることも多く、葉同士が重ならず太陽光を効率的に受けられるようになっています。バラや多くの樹木がこの互生です。
・『対生』
1つの節に2枚葉が対になって生えます。葉は茎の反対側にペアで向かい合ってつき、葉の向きも向き合います。ナデシコやアジサイなどが代表的で、この形は葉の空間利用が効率良くなります。
花びらのつき方:放射状
花びらは中心点(花の中心)を軸にして放射状に広がることが多いです。例えばサクラのように5枚の花びらが均等に円周上に配置される「5放射相称」が典型的です。
自然界では、花びらが螺旋状(らせん状)に配置されることもあり、この角度は多くの場合「黄金角」と呼ばれる約137.5度で調整され、花びら同士が効率よく重ならずに美しい配置になります。

手順と観察で花をもっと美しく描く
花を描く際は“構造”を把握した上で。最初に花の中心から茎へと続く軸をしっかりと捉えてガイドラインを引きます。この“軸”が決まると、花全体のバランスが安定し、描きやすくなります。
続いて、花の中心となる花芯から描き始め、一枚ずつ花びらを丁寧に加えます。このとき、花びらの“前後関係”を意識することがポイントです。手前の花びらは輪郭がはっきり見えますが、奥にある花びらは他の花びらに隠れたり、形が少し変わって見えたりします。そのため、まず手前の花びらから順番に描くと、自然な重なりや立体感が出やすくなります。


一通り花びらを描き終えたら、次に葉っぱに取りかかります。特に葉の根元、茎とつながる部分を意識しながら丁寧に描写していくと、花全体がいきいきとした仕上がりになります。葉も、付き方や重なり、向きなどをしっかり観察し表現することで、より説得力のある絵となります。

リアルな花から抽象的なテキスタイルデザインへの変換
花の構造をベースに、少し崩して抽象的なタッチにすることで、テキスタイルデザインにぴったりの柔らかく魅力的な花柄が生まれます。完璧な形を把握した後に、形の一部をゆるやかに変形させたり、線や色の強弱を調整したりすることで、絵に動きと温かみが加わり見る人を惹きつける独特の美しさが生まれます。この崩しの表現が、花の本質を残しつつもデザインとしての自由さや個性を引き立てます。構造が理解された上で描かれた抽象の絵はフォルムが崩れていても説得力が生まれます。
