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花の描き方・花びら一枚一枚の違いが生む“生きた花”の表現

花を観察すると、一枚一枚の花びらは微妙に形が違います。長さや幅が均一ではなく、少し捻れたり欠けたりすることで、花らしい自然な美しさが生まれます。絵に描くときも、その違いを取り入れると、作品に生命感が宿ります。

明るい背景に青、ピンク、オレンジ、白の花束が描かれ、緑の葉がアクセントを添えている。.

花びらの「理想形」から抜け出す

花を描くとき、つい左右対称で均等な花びらを並べがちです。しかし、自然の花をじっくり観察すると、同じ形をした花びらはほとんどありません。一枚一枚の花びらが、少し広がったり細長かったり、時には重なって一部が隠れて見えることもあります。この“揃わなさ”こそが、花を花らしく感じさせるポイントです。左は花びらの形を揃えてみました。右は少し崩して不揃いにしたものです。左はやや単調に感じます。対して右は動きを感じます。

シンプルで流れるような黒い線と最小限のディテールで描かれたそれぞれの花。.

花びらに変化をつける描き方

花びらの変化を描くには、まず「ランダムに不揃いにする」という意識を持つことが大切です。一枚は丸みを強調し、別の一枚は先を細くするなど、同じ花の中でも少しずつ表情を変えていきます。また、中心から伸びる方向を少しずらしたり、外側に反らせたりすることで自然な動きが出ます。さらに、ほんのわずかな欠けやしわを加えるとリアルな質感が増すでしょう。均一さを崩す小さな工夫が、画面に呼吸を与え、絵を見た人に「生きた花」を感じさせます。

ベージュの布地を背景に、オレンジ、白、青、紫の色合いと緑の葉で複雑に刺繍された花束。.

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