完璧に整った形にあえて崩しを加える「破調」の美学。陶芸とテキスタイルの共通項・違和感やズレが自然な魅力を生み出し、見る人の心に温かさと引っかかりをもたらします。

陶芸における「破調」の美学
陶芸家はろくろで整えた作品に、あえて微かな歪みや揺らぎを加える「破調」という技法を用います。これは作為的な形作りを避け、素材の自然な調子や模様を崩すことで、より生き生きとした自然な美を引き出す手法です。波打つような不均一さが作品の個性となり、見る人の心に安らぎと親しみをもたらします。


テキスタイルデザインの中に違和感・引っ掛かりを創る
テキスタイルデザインにおいても、全てを均等に整えるのではなく、例えば葉っぱの一枚だけ欠ける、あるいは一枚だけひらひらと翻るなどの「調子を壊す」要素が加わることで違和感が生まれます。この違和感こそが見る者の目を引き、自然なリズムと心地よさを演出するのです。完璧さを崩すことで生まれる「引っかかり」が作品を魅力的にします。

このように、陶芸の「破調」とテキスタイルの「違和感」は、いずれも完璧さを崩し自然の揺らぎや魅力を生み出す共通のデザイン技法と言えるでしょう。