同じモチーフをただ並べるだけでは平板なデザインになってしまいます。花びら一枚の向きや開閉の違いといった小さな変化が、テキスタイルを豊かにし、身に着ける人に驚きと心地よさを与えます。

変化が質を高める
テキスタイルデザインでは、変化の量が質を左右します。同じ花をコピーして並べただけでは生気のない印象を与えてしまいますが、つぼみや満開、横を向いた花や真正面の花など、わずかな違いを積み重ねることで画面に奥行きが生まれます。主役と脇役を考えながら構成することで、一枚の布の上にストーリー性やリズムを持たせ、より完成度の高いデザインに仕上がっていくのです。

料理とデザインの共通点
この考え方はフルコースの料理に似ています。前菜からスープ、メイン、そしてデザートへと進む流れの中で、一皿ごとに異なる素材や調理方法が使われ驚きを与えます。テキスタイルも同じく、見る者や身に着ける人を楽しませたいという想いが変化を生み出す原動力となります。料理人が食べる人を思うように、テキスタイルデザイナーも「素敵だな」と感じてもらえる瞬間を創り上げていくことが重要です。
