
調和とリズム――和柄の花の表現
和柄でよく見られる花のデザインは、花びら一枚一枚の形状が非常に似通っているのが特徴です。同じ形・サイズの花びらが花芯を囲むようにリズミカルに整然と並び、全体に均整美と静謐さを感じさせます。色彩表現も独特で、ベタ塗りでフラットに色が施されるか、中心から縁に向かって均一にぼかしたグラデーションが多用されます。こうした「揃い」と「調和」が、日本独自の静かで洗練された美を際立たせるポイントです。

個性と動き――ヨーロッパテイストの花柄
一方、ヨーロッパテイストの花柄は、花びら一枚一枚の形状に大きな変化が見られます。ふくよかで曲線的、端もあえていびつだったり、花びらが横や斜めを向くなど、自然な動きを表現することで生命感を強調します。色の濃淡も多彩で、光が反射するようなグラデーションや細かな陰影が加わり、平面上でも立体的な奥行きを感じさせます。その複雑な形や豊かな変化が、ヨーロッパ独自の華やかさとドラマチックな美を生み出しています。