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テキスタイルデザイン最前線 ― ヒアリングで叶える理想のテキスタイル

テキスタイルデザインとは、顧客の言葉を「模様」にし、染工場の技術で「カタチ」に仕上げる仕事。用途、リピートサイズ、色数の見極めを考えて、唯一無二のファブリックが生まれるます。

イメージを現実に変えるスタートライン

テキスタイルの成否は、初めのヒヤリングが大切です。まず確認したいのは、使用シーンや最終製品(衣服・インテリア等)、ターゲット層、製品の販売時期(春夏・秋冬)といった「誰に、どんな印象で届けるか」。あわせてリピート(柄のくり返し)サイズや、希望「大人っぽく上品に」「子供向けに明るい」など、抽象的な表現も具体的なサンプル画像や参考資料をもとに共有することが大事です。段階的にブランドのイメージをしっかり把握して、仕上がりのブレを少なくしてゆきます。

加工:繰り返し・色数・プリント技法の選択肢

次のポイントは「加工方法」の検討です。 国内染色工場の多くは、オートスクリーン機の規格で「縦リピートは24インチ(約61cm)または30インチ(約76cm)」が主流です。これを逸脱すると量産に向かなくなるので、デザイン段階からの意識が必要です。ベース地の色(淡色か濃色か)、意図する柄決めや余白の広さも、実際の加工や仕立てを見据えて調整を行うことが肝要です。

ニュアンス設計:オンリーワンの世界観を創り出す

又最も重要なのは「ニュアンス」設計です。 柄や色彩の印象は、ブランドの個性や市場での立ち位置に大きく影響します。 春夏なら爽やかで透け感のある色味や伸びやかなモチーフ、秋冬は懐かしいトーンや密度感を意識。また、柄のサイズ感(スケール)も重要な要素。着用した時や製品化された時に美しく見えるかどうか、用途に合わせた調整が必要です。 素材や加工技術、トレンド、ブランドらしさを多角的にバランスを取りつつ、「唯一無二」のテキスタイルを完成させます。