経験豊富なテキスタイルデザイナーほど自らの成功体験に頼りがちになりますが、大切なのはクライアントの思いを「傾聴と肯定」をする姿勢。心を込めた対話が本当のデザインを生みます。

過去の経験よりも「今の声」を聴く
テキスタイルデザインの現場では、どうしても「以前こう評価された」「この方法で結果を出してきた」という経験に沿ったデザインに流れがちです。確かにそれは力強い支えですが、クライアントが求めているのは“過去の軌跡”ではなく、“今この瞬間”に寄り添ったデザインです。傾聴し、耳を澄まし、相手の言葉を丁寧に受けとめることで、響くデザインを生み出すことにつながります。

肯定するから広がる発想
クライアントの言葉をそのまま一度デザインとして形にしてみる。これは単なるトレースではなく「あなたの感覚を大切にしています」という肯定の表現になります。そしてそこにデザイナー自身の感性を重ね合わせることで、思いがけない広がりを持ったデザインが誕生します。「傾聴と肯定」は、クリエイティブを閉じ込めるのでなく、むしろ豊かに開放してくれる大切なプロセスなのです。
