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株式会社ALBA:2025年柄別売上分布・花柄一強と幾何抽象柄の台頭

ドーナツ・チャートは、2025年のテキスタイル・デザイン売上高を示す。花柄44%、幾何学模様22%、エスニック13%、小物9%、装飾品7%、その他6%。.

「テキスタイルデザイン2025年度売上分布図」

「2025年テキスタイルの主役は花柄44%、台頭する幾何・抽象柄22%。京都発ALBAが制作現場データで読む次年度トレンド。」上図は、株式会社ALBAが2025年に制作した全テキスタイルデザインを柄別に分類し、各カテゴリーの制作比率を示したものです。傾向を視覚的に把握できる情報です。来年のデザイン戦略を見据えたリアルな指針をお届けします。

花柄44%が示す時代性

2025年の株式会社ALBA:テキスタイルデザイン事務所における制作分布では、花柄が全体の44%を占め、依然として圧倒的な人気を誇りました。特に2025年はコロナ収束以降、街に出る機会が増え、装いに彩りを求める心理が高まりました。明度の高い花柄や軽やかなタッチのプリントが多く採用され、アパレル市場でも「華やかさが日常に戻る」傾向が明確に現れています。特に今季は外出着だけでなく、リゾートウェアや軽アウターにも花柄が進出し、用途の広がりを見せました。

花のスケッチにピンクの花びらを描く手。隅には混色のパレットが見える。.

幾何・抽象柄22%の静かな主張

一方で、幾何柄・抽象柄は全体の22%と前年より伸長。無地感覚で着られる落ち着いた配色のテキスタイルデザインが多く、機能素材やビジネスカジュアルなど、より都会的なスタイルに寄り添いました。ALBAではこれまでの幾何の概念を超え、構築的でありながら優しい印象を与える図案を多く制作。シンプルな中に意志を感じさせるデザインが、次なるトレンドへの橋渡しとなっています。静けさと構築性を両立したこの領域こそ、2025年の“隠れた主役”でした。

柔らかなパステルカラーで描かれた抽象画。黄色、青、ピンクがテクスチャーのあるレイヤースタイルでブレンドされている。.

小紋・小付柄が担う「無地の次」へ

小紋・小付柄は9%と数字こそ少ないものの、内容は濃く、デザイン利用の幅を大きく広げました。特に、無地に代わる「質感を持つベーシック」としての存在感が評価されています。細かな図案を重ねたジャカード調プリントや、遠目に無地のように見える規則構成の図案など、ALBAの“繊細な設計力”が光る領域です。トレンドの多様化と素材の軽量化が進む中、この「静かな柄の発信力」が次年度の鍵を握る可能性があります。

後書き

2025年は「華やかさと静けさ」が共存した一年でした。花柄が街に彩りを戻す一方、幾何や小紋が“控えめな自己表現”を支えています。株式会社ALBA:テキスタイルデザイン事務所では、2025年度の情報として制作現場から得たデータをもとに、次年度の素材・配色・構成を提案してまいります。筆者はこのデータから、2026年は働く女性を中心に、より洗練されたテキスタイルデザインが一層求められる年になると予測します。

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執筆:代表取締役・テキスタイルデザイナー安田信之:株式会社ALBA・[ 著者情報 ]