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複雑なバラを描くための観察と構造理解

花びらの多いバラは、どこから描き始めてよいのか迷いやすいモチーフです。今回は花びら1枚を回転させた写真を元に、立体的な構造、自然な流れや重なりを美しく表すための観察方法を紹介します。

棒に刺さったバラの花びらを弾く手が、連続するフレームの中で鳥が飛んでいるような錯覚を起こす。.

花びらの向きを観察する

バラの難しさは、花びらの厚みや質感、そしてそれぞれが異なる方向へ向いていることにあります。手前に翻る花びらや奥に潜り込む部分は、形を正確に把握しにくいものです。そこで、1枚の花びらを360度回転させた状態を意識し、どの角度でどう見えるのかを理解しておくと、描く際の迷いが減ります。光の当たる位置や陰の出方を意識することで、より立体的な表現が可能になります。

無地の白地に、縁が淡いピンクの白いバラの花びらが一枚。.

分解して構造を理解する

全体の姿を一気に描こうとせず、花をパーツとして分解して観察することが大切です。中心から外側に向かって規則的に並ぶ花びらの重なりや間隔を丁寧に分析することで、形のロジックが見えてきます。形を感覚ではなく構造として捉えることが、美しいバラを描く第一歩です。

淡く柔らかなぼかしの入った花柄の背景に、濃い葉を持つ4輪のピンクのバラが描かれている。.

あとがき

素敵な絵を描くためには、感性で感じ取ることと理論的に構造を理解すること、その両輪が欠かせません。観察を深め、理屈と感覚の調和から生まれる表現を掴むことが大切です。