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テキスタイルデザイナー/株式会社ALBA代表取締役安田信之/京都から未来へ紡ぐ[図案家]の役割

私は図案家として約30年の歩みを経て、京都を拠点にテキスタイルデザイナーの未来を創造するための挑戦をし続けています。絵を描くことは人と人をつなぐ言葉なき会話。その想いを形にし、次世代へと受け継ぐ舞台を作り上げています。

空っぽの劇場に椅子が並べられ、ドラマチックな光線が床を照らしている。.

「絵を描くことから始まった物語」

学生時代、ただ絵が好きという気持ちだけで全国をスケッチブック片手に巡りました。その中でも屋久島の屋久杉に魅了された日のことを今でも鮮明に覚えています。自然が放つ迫力と生命力は、その後の私の仕事の根幹となっています。

流れるような有機的な線と柔らかな陰影を特徴とする抽象的な鉛筆画と色彩スケッチを掲載したオープン・スケッチブック。.

京都文化博物館で屋久島をテーマにしたグループ展を開催した際、後に師となるTextile Design Studio 有限会社King Kong代表森下氏との出会いがありました。私の絵の前で長く作品を見つめる森下氏の姿を見て、「ああこの方と一緒に仕事がしたいな」と強く思い、テキスタイルデザインの世界へ進む決意を固めました。10年間森下氏の元Textile Design Studio 有限会社King Kongでテキスタイルデザインの基礎を学び、現在の基盤を作りました。あの日から今日に至るまで、テキスタイルデザイン(絵を描くこと)は私の人生の中心であり続けています。

「株式会社ALBAと共に歩んだ20年とその先へ」

個人事業からスタートしたALBAは創立から20年以上、多くのテキスタイルデザイナーと共に創作活動を続けてきました。その中には10年勤めた後独立し、自身の道で活躍しているテキスタイルデザイナーもいます。私たちは若い世代が安心して挑戦し、成長していける環境づくりを重視しています。多くのアパレル企業の支えのもと、現在も才能豊かなテキスタイルデザイナーと共にプリントデザインを手掛けています。私たちが追い続けているのは、「何が大切か」「何が求められているか」「何が美しいか」という永遠のテーマであり、その答えを探求すると共に、培った技術や感性を後継者に継承し、未来へとつなぐことに力を注ぎます。新たな表現や価値を創造し続けることが、テキスタイルデザイナー、次世代の図案家を育てる原動力となっています。

大きな花柄がプリントされた黒いドレスを着た女性。.

「図案家という仕事の再認知」

かつて京都には多くの染め工場や図案家が存在し、活気あるプリント産業が息づいていました。しかし近年、その数は減少傾向にあり、図案家という職業の存在や価値が薄れつつあります。私たちは、この重要な仕事を再び社会に広く知ってもらい、再認知を獲得するための活動を続けています。図案家は単なる絵を描く職人ではなく、お客様の想いを深く受け止め、共感し、その気持ちを美しく形に昇華するクリエイターです。この役割が持つ文化的・技術的価値を再度、次の時代にも確実に残していくことが、株式会社ALBAの使命であり責任だと考えています。

白い花、緑の葉、暗い背景の花柄包装紙のクローズアップ。.

「京都から未来へ紡ぐ挑戦」

今後の株式会社ALBAは、京都が育んできたテキスタイル文化を世界へ発信し、図案家の仕事を未来へと繋げていきます。
図案家が絵を描くことは、人の心と心を糸のように紡ぐこと。その瞬間、絵の中に魂が息づきます。
この街の誇りと技を守りながら、多くの人々と共に新しい価値を創造し、紡ぎ出していくこと——それが、私たち株式会社ALBAのデザイナーとしてのこれからの在り方だと考えます。

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