テキスタイルデザインで筆が止まる瞬間は誰にでも訪れます。迷いと検証、その違いを知り、時間を有効に使うことで作品の質が上がります。

筆が止まる「迷い」の心理とは
テキスタイルデザインの作業中、筆が止まる瞬間は誰しも経験するものです。どんなタッチが適切か、クライアントの意図をつかみきれないなど、「正解」が見えないことで迷いが生まれます。迷いはただ時間を浪費しがちですが、実は自分の中で重要な方向性を探すための貴重なプロセス。葛藤を抱えながら、自分の感覚や表現と向き合う時間でもあります。

迷いと計画的な検証の違い
迷いは、例えば透明水彩とポスターカラーのどちらを使うか決められず堂々巡りを繰り返す状態。無駄に感じる時間でも心の中の葛藤を示しています。検証は意図的に実験し、自分の技術や表現の答えを積み重ねていくこと。水彩で試作しタッチを確かめ、結果を踏まえてポスターカラーに切り替えるなど、目的を持った取り組みが検証です。

検証を重ね仕事の質を高める
検証の積み重ねは確実に経験を蓄積し、スキルを深めて次の作品作りを効率化します。迷いっぱなしでは前進できませんが、検証を繰り返すことで筆の動きは自然に速まり表現に深みが加わります。経験値が増えると、枝道ではなくゴールに直進できるようになり、創造性も広がります。
筆を止める時間の価値ある使い方
納期が迫る中でも筆を置く時間は大切です。漫然と迷うのではなく、検証的な視点をもって技法や表現を試しながら進めることで作品の質が向上。迷いを恐れず「検証の機会」と捉え直すと、筆を止めた時間が創造の深化に変わります。迷いも検証もクリエイティブの不可欠なプロセスであり、バランスを知って活かしましょう。

まとめ
テキスタイルデザインで筆が止まる迷いは、単なる停滞にとどまります。同じ時間を使うのであれば、計画的な検証を重ねることで引き出しは増え、仕事の質と効率が向上します。時間をかけることを恐れず、時間を有効に活用することが創造力を深める鍵となります。
テキスタイルデザイン作業の進め方で、関連記事:慌てず急ぐ、手描きテキスタイルの速度と品質–もあわせてご覧ください。
執筆:代表取締役・テキスタイルデザイナー安田信之:株式会社ALBA・[ 著者情報 ]