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屋久島の記憶から生まれた、未来を織るテキスタイル「Future Line」株式会社ALBA発表

京都を拠点にテキスタイルデザインを手がける株式会社ALBAが、新たな布のシリーズ「Future Line」5点を発表しました。環境配慮型素材と京都の染織技術を結びつけ、自然と調和するデザインを追い求めた、未来に続くテキスタイルの物語です。

デザインの原点を見つめ直す旅

テキスタイルの仕事を続けていると、「素材に導かれる瞬間」が訪れることがあります。
筆者にとって、今回の「Future Line」もまさにその延長線上にありました。
再生素材の質感や光の反射、指先に伝わるざらりとした感触——それらが言葉より先に「布の未来」を教えてくれる。そこから始まったのが、“サステナブルなデザインの本質を布で語る”という挑戦でした。

筆者が語る「未来志向の布」とは、ただエコロジーを表す記号ではありません。
自然の摂理や時の流れ、そして人の手仕事をどう受け継ぐか——そのすべてがデザインの一部であるという考え方です。


屋久島がくれたインスピレーション

「Future Line」の原風景には、筆者が30年前に訪れた屋久島があります。
雨に濡れた苔、樹齢千年を超える屋久杉の幹、息づく湿った空気。その光景が心に残り、時を経て“生命の記憶”として布に描かれることになりました。
図案には、木肌の細かな皺や苔の揺らぎ、水滴のきらめきをモチーフにした有機的なパターンが登場します。目に見えない生命の循環——それを線と陰影で可視化したのが、このコレクションの最大の特徴です。
対話するのは筆やモニターではなく、自然そのもの。ALBAの布づくりには、そんな静かな思索が流れています。

屋久島の苔むした巨木

再生素材が語る“布の未来”

今回のシリーズでは、環境配慮型の2つの素材が採用されました。
ひとつは、綿花の種に残る繊維を再生して作られたキュプラに、わずかにシルクを加えた混紡生地。
もうひとつは、回収されたペットボトルを再利用して紡いだリサイクルポリエステルです。

どちらも“捨てられるものに新しい命を吹き込む”という発想から生まれています。
ALBAはこれらの素材の個性を尊重し、光沢、透け感、表面の凹凸——それぞれの違いをデザインの表情として取り込みました。
「素材が主役であり、私たちはそれに寄り添う存在」、デザイナーとしての哲学がにじみます。


生地見本:リサイクルポリエステル素材

京都の技術が支える繊細な表現

「Future Line」の布づくりを支えたのは、京都・伏見区の染織加工メーカー株式会社日興染織
ALBAとは長年の信頼関係を築いてきたパートナーです。今回は、環境負荷を抑える顔料プリント技法を用い、従来より約60〜70%の水使用量削減を実現しました。
さらに、無洗・無蒸しのプロセスを採用することで廃水ゼロにも挑戦。1800メッシュという微細なスクリーンにより、陰影の重なりや筆致の揺れまで緻密に再現しています。

技術の進化は、単なる効率化では終わりません。
ALBAと日興染織が目指したのは、「職人の感覚とテクノロジーの融合」。
地域の技術を未来へ継承するための、ひとつのモデルケースでもあります。


共創から生まれる“続いていくもの”

“ものづくりはひとりでは完結しない”。
伝統的な染色現場の職人、素材開発に携わるメーカー、デザイナー——それぞれが信頼関係でつながることで初めて実現できる表現があります。

ALBAにとって「Future Line」は単なる新作ではなく、共創によって生まれるサステナブルデザインの証でもあります。
地域の技術が循環し、素材が再び息を吹き返す。この連鎖が、未来に続く布づくりを形にしています。

山のテキスタイルデザインを広げる手

“未来に続く布”への願い

「テキスタイルの未来は、技術でもデザインでもなく、“人の感性”の中にあると思います。
素材を見つめ、布と向き合い、そこから生まれる響きを形にしたい。」
─ 株式会社ALBA 代表取締役 安田信之

「Future Line」は、サステナブルという言葉の先にある“感性の継承”をテーマにしています。
染織のまち京都だからこそ実現できる、伝統と革新の交差点。
そして、自然への敬意と人の手による美しさが共存するテキスタイル。

ALBAの新しい挑戦は、“未来を織る”という一文に集約されます。
それは、デザイン業界の枠を超えた、次世代への静かなメッセージです。

作品


テキスタイルコレクション「Future Line」

Wind Rebirth(風)
 意味:風が古いものを運び、新しい生命を吹き込む。
 ニュアンス:再生や循環のエネルギーを表現。

Light Echo(光)
 意味:光が広がり、反射しながら永遠に巡る。
 ニュアンス:希望や未来へのつながり。

Ivy Link(蔦)
 意味:蔦が絡まり広がるように、自然がつながり合う。
 ニュアンス:成長と結びつきの象徴。

Ripple Cycle(波紋)
 意味:水面の波紋が無限に広がるような循環のイメージ。
 ニュアンス:調和と持続の美を体現する

屋久島の抽象的なテキスタイル模様

Komorebi Flow(こもれび)
 意味:木漏れ日の揺らぎと生命の流れを感じさせる。
 ニュアンス:柔らかい光が生命の循環を象徴する。


7. 技術データ・パートナー情報

技術ハイライト

  • 顔料プリントによる水使用量約60〜70%削減
  • 無洗・無蒸しプロセスで廃水ゼロを実現
  • 1800メッシュスクリーンで高精細な表現
  • 京都の地産技術による継続的製造体制

共同開発パートナー
株式会社日興染織 
https://www.nikko-sensyoku.co.jp/


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執筆:代表取締役・テキスタイルデザイナー安田信之:株式会社ALBA・[ 著者情報 ]