絵画と写真、一見まったく異なる表現手段ですが、どちらも「世界をどう切り取るか」という点で深い共通性を持っています。筆で描く軌跡も、シャッターで刻む瞬間も、表現者の眼差しと感性が映し出される創作のかたちなのです。

写真の歴史背景と特性
写真は19世紀初頭に誕生しました。光を感光板に定着させる実験から始まり、銀塩写真やカラーフィルム、デジタル技術へと進化することで、誰もが瞬間を記録できる表現手段となりました。シャッタースピードや絞りによる光の調整は、肉眼では捉えられない一瞬や質感を切り取る力を持っています。動きを止める、奥行きを演出する、光と影の表情をとらえるといった特性は、写真特有の魅力として受け継がれています。

絵画と写真の共通点と表現の意味合い
絵画は、描き手の内面を紙やキャンバスに映す行為です。筆跡や色彩、形の選び方が作者の感情を直接的に残していきます。一方、写真もまた、撮る人の感覚によって表情が大きく変わります。同じ風景でも、構図や光の扱い次第でまったく異なる思いが刻まれるのです。絵も写真も「世界の断片をどう切り取るか」という点で深くつながり、偶然と必然の狭間に表現者の眼差しを浮かび上がらせます。両者は異なる方法でありながら、実は表現における本質を共有しているのです。

写真と筆が織りなす新しいテキスタイルデザイン
ALBAでは、写真で撮影したリアルな花や風景を素材に、筆でペイントしたものを加えるという複合的な表現手法を試しています。写真が持つ現実感と筆跡による抽象的なニュアンスが融合し、これまでにない独自の世界観や奥行きが布地に映し出されます。デジタルプリント技術や手描き加筆の技法を組み合わせることで、一枚の布に現実と創造の交差点を描くことができ、唯一無二の柄が生み出されるのです。

