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主観と客観のはざまで揺れるテキスタイルデザインの本質

壁面を満たす客観的な全体像も、その粒子一つ一つは主観の集合体。テキスタイルデザインで揺れる「主観と客観」、その両立こそが商業美術の永遠のテーマです。

青とベージュの背景にピンクと白の小さな花のような形が散りばめられた抽象的なデジタルアート作品。.

主観と客観の交差点

私たちが目にするものの全体は、俯瞰で見ると客観的な意味を持つように感じられます。しかし、その一つひとつの細部に目を凝らすと、それらは誰かの主観的な視点や感じ方の結晶であることに気づきます。壁面一面が全て客観で構成されているように見えても、その粒子は個々の主観が集積されたものです。つまり、俯瞰して得られる客観は個々の主観の集合体であり、そこにデザインの本質的な価値が横たわっています。たとえば、多くの人が「良い」と感じるデザインは結果として売れ筋に見えますが、その根底は「自分にとってこれが良い」と感じた物の積み重ねにほかなりません。

反射する湖の上に座り、超現実的な空に浮かぶ雲の上にそびえる巨大な惑星を見つめる人。.

永遠のテーマとしての創作

ではデザイナーは主観と客観のどちらを軸に創作すべきでしょうか。市場調査や過去の売れ筋に基づき「似たもの」を作れば、一時的には安心できますが、その売上傾向は次第に下降していくことが少なくありません。逆に、自らの感性を信じ「これが良い」と心から思えるものを形にしたとき、市場に新しい価値を示し、売上が伸びることもあります。またその逆もあります。商業美術においては、客観だけでも主観だけでも成り立たちません。では、その両方をどう扱えば良いのでしょうか?

大きな窓、イーゼル、画材、絵画が部屋中に散らばっている。.

主観と客観、どちらから始めても良い

テキスタイルデザインにおいて、主観からスタートしても、客観から始めても構いません。ただし重要なのは、その過程で必ず両者を内包し融合させることです。純粋に主観的な創造の中にも客観的視点は不可欠であり、逆に全く客観的な手法のみで作り上げた場合も、そこには個人の主観的な判断や概念が必ず介在します。この相互依存の関係性こそが、デザイン市場で評価される価値の源泉であり、片方を欠いたデザインは深みを持ち得ません。主観と客観の交錯のなかにこそ、真の創造が宿るのです。

左はピンクの花瓶、右はピンクとブルーを基調としたカラフルな抽象画。.