ピンチをチャンスに変える7つの方法|脳科学と心理学が教える冷静な突破術。テキスタイルデザイナーやグラフィックデザイナーといった商業デザインに関わる方へ向けた、ピンチの時の対処法を7つにまとめました。

目次
1:原因を冷静に分析する
起きている問題の背景を感情的にならずに分析しましょう。原因がわかれば、合理的な解決策を立てやすくなります。意外に小さなところに問題解決の糸口が見つかる時もあります。
2:周囲に助けを求める
一人で抱え込まず、信頼できる同僚や先輩に相談しましょう。多角的な視点を得て問題を共有することで心理的な負担も軽減できます。視界が狭くなっているときに、他者から見る視点は突破口を切り開きます。

3:一見小さく思えることを1つずつやってみる
大きな問題に対処できなくても、小さな課題から着実に片づけていくことが前進につながります。作品を形作る断片を、タスクごとに分解し細かくすることにより対処しやすい状態になります。
4:会社の周りを散歩する
一歩手を止めて散歩することで頭をリフレッシュし、心も体もリセットできます。インスピレーションが湧くこともあります。静止している時と歩いている時では、脳の動き方が変わります。歩いてみるは、思考するときに取る行動としてはとても効果的です。

5:「絶対できる」と唱えてみる
自己肯定感を高める自己暗示はメンタルを支え、前向きな動きを促してくれます。脳の仕組みは、シンプルで、自身の言葉で口にすることにより、その言葉が脳内に固定されやすくなります。否定的な言葉を口にするのではなく、肯定感が高まる言葉を唱えてみるが大切です。
6:クライアントに会いに行く
クライアントに直接会いに行くことは、問題の本質を正確に把握するうえで非常に効果的です。直接コミュニケーションをとることで、メールやチャットだけではわからないクライアントの本音や隠れた課題を見つけやすくなります。また、対面での会話は信頼関係の構築を促進し、相手の表情やしぐさからも多くの情報を得られるため、的確な解決策を導きやすくなるのです。

7:顔を上げて空を見る
ピンチの時ほど、顔を上げて空を見上げてみましょう。広がる空の景色は心を解放し、自然の大きさに触れることで悩みが小さく感じられ、焦りや不安が和らぎます。心理学の研究によれば、空を見上げることでストレスホルモンが減少し、幸福感を高めるセロトニンの分泌が促されるため、心が穏やかになります。深呼吸を加えながら空を見る行為は自律神経のバランスを整え、心身のリフレッシュに最適です。

合わせてこちらの記事も参考に。「慌てず急ぐ、手描きテキスタイルの速度と品質」
引用元:脳科学や心理学の視点から支持される海外の論文
- カリフォルニア大学バークレー校のHelen W. Sullivan博士による研究では、問題解決の際の冷静な原因分析(問題の背景を感情抜きで論理的に把握する)の重要性が示されています。感情制御が認知能力と柔軟性を高め、クリエイティブな打開策を生みやすいと報告されています(Sullivan et al., 2018)。
- 米国ペンシルベニア大学のMartin E.P. Seligman教授の「ポジティブ心理学」による研究は、自己肯定感の向上が困難な状況下でのストレス軽減と回復力向上に寄与することを証明しています。特に、自分自身に肯定的な言葉を繰り返す自己暗示がメンタルヘルスを支える効果的な方法とされています(Seligman, 2011)。
- ハーバード大学のAmishi Jha教授の神経科学研究では、外出して歩くことが、ストレスホルモンの減少と脳の注意力や創造性の向上に結びつくことが明らかにされています。短時間の散歩は、脳機能のリセットと心身のリフレッシュに非常に効果的であるとされています(Jha et al., 2019)。
執筆:代表取締役・テキスタイルデザイナー安田信之:株式会社ALBA・[ 著者情報 ]